幼なじみの彼とわたし

side 遥平

守本に森田のことを聞いてから、亜衣に会いたくて。
でも、その日は先約があるとのことだったから、その翌日にまた亜衣に連絡した。

返事はOK。

嬉しさ半分、怖さ半分といったところだろうか。


千尋がついていたのにコクられそうになるって。
違うか。
千尋がいたから、森田はコクる前にフラれたってことか。
でも油断はできないな。


1時間ほど残業したあと、通いなれた亜衣の家へと向かう。


昼にいずみと会ったときに「昨日は亜衣紗ちゃん借りちゃってごめんね」と謝ってきた。
満面の笑みで。
あと「気持ち伝えないの?」「幼なじみっていいようで複雑なんだね」とも。
昨日、どんな話をしたんだろうか。


考えているうちに、亜衣の部屋についた。


ピンポーン♪


「おかえり、遥ちゃん」


あれ?
いつもはもうちょっとバタバタと迎えてくれる気がするんだけどな。


「ただいま、亜衣」


それでもいつも通りに返す。
「ただいま」って言える相手がいるっていいな、っていつもこのときに思う。

亜衣はいつも通り食事を作ってくれていてそれを一緒に食べるが、なんとなく元気がないのは気のせいか?

しかも今度は俺の顔をじーっと見ている。
泣きそうな顔で。


「何かあった?顔に何かついてる?ちゃんとおいしく食べてるよ」


何があったんだ?
でも、返ってきたのは


「あ、ごめん」


という元気のない声と若干ひきつった笑顔。
こんな顔見たの久しぶりではないだろうか。

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