幼なじみの彼とわたし
片付けが終わってコーヒーを持ってきてくれた亜衣を俺の横に座らせる。


「亜衣、何かあった?いつもと違う」

「…え?う、ううん、何にもないよ」


やっぱり教えてくれないか。
でも、想定内。


「俺を誰だと思ってるの?いつもと違うことくらい顔見た瞬間にわかったよ」


あんな声で出迎えてくれたら、おかしいと思うし。
それでも、普段通りにしようとがんばってる姿は、それはそれでかわいかったけど。


「亜衣、俺に言えないこと?悩み?」


いつもなら深くは聞かないけど、今日は森田のこともあるし気になって仕方ないのに、やっぱり教えてくれない。
黙ってしまった。
これ以上しつこくしても同じだろうし、うっとうしがられるのは嫌だ。


「亜衣?…わかった。理由はきかないから。でも。泣きたいなら俺の胸使って?」


この状況でひとりにはできないし、もっと頼ってくれたらいいのに。
理由は教えてくれなくても傍にいるのは許してくれる?
亜衣は少しびっくりしたようだ。
俯き気味だったのに、顔をあげた。


「遥ちゃん、優しいね。幼なじみだから?それとも誰にでも?」


今度はびっくりだ。
まさか、亜衣がそんなことを聞いてくるなんて。


そりゃもちろん、、、


放っておけないから。
亜衣が大切だから。
何より好きだから。
< 116 / 229 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop