幼なじみの彼とわたし
あぁぁぁーーー…
何をやってんだ、俺は。


夜遅い時間に迷惑かと思ったが、迷った末に千尋に電話をかけた。
しばらくコールが続く。
寝たのか。
諦めようとしたその時。


「…もしもし」


出てくれたようだ。


「あ、千尋?俺」

「うん、知ってる。で、こんな時間に何?」


寝ていたのか寝ようとしていたのかはわからないが、声の感じからして迷惑そうだ。
当たり前か、こんな時間だからな。


「いや、亜衣紗なんだけど」

「うん、わかってる。遥平くんからの連絡って、亜衣紗絡みしかないし」

「あぁ、そうだな。アイツ様子がおかしいんだ。ボロボロ泣いてて。理由は教えてくれないし」


失恋のことは伏せておく。


「は?亜衣紗が?そこにいるの?」

「いや、今は泣き疲れたみたいで寝たから、部屋に残してきたところ」


ちょうど通りかかった公園のベンチにもたれかかり、足も伸ばして空を見上げるように座る。
やっぱり風が気持ちいい。


「…そう。ごめん、わたし何も聞いてない」

「そうか、こんな時間に悪かった」

「ううん、またそれとなく聞いてみるわ」

「あぁ、頼む。じゃあな」


電話を切ると、大きなため息が出てきた。


あぁぁぁーーー…

空に向かって叫びたい気分。
しばらくそのまま目を閉じていた。


そろそろ帰るか。

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