幼なじみの彼とわたし
「最近、亜衣の家あたり、変な人が出るらしいんだ。だから一緒に帰れるときには帰ろうと思って」

方向同じだしな、と遥ちゃん。
あ、そうか。
幼なじみで同じ方向だから一緒に帰ってくれるんだよね、なんて卑屈な捉え方もしちゃって。


一緒に帰ってくれようとする気持ちは嬉しいんだけど、遥ちゃんの近くにいると遥ちゃんのこと諦められなくなりそうな気がして切なくなる。
その反面、遥ちゃんに彼女ができるまでは近くにいてもいいかな、なんて甘い考えも出てくる。

複雑だ。


結局断る理由もないから、一緒に帰ることにした。

わたしより20 cm以上も背が高い遥ちゃん。
なのに、歩くスピードはわたしに合わせてくれているみたい。
ほんと優しいんだから。


「遥ちゃん、この前は泣いちゃったり寝ちゃったりしてごめんね。あとありがとう」

「いや、亜衣があんなに泣くなんて、よほど相手のこと好きだったんだな。ちょっと?かなり?嫉妬した。でも、だいぶ気持ち上がってきてるみたいでよかったよ」


嫉妬って。
でも、急に泣いちゃったからビックリしただろうな。


「さっき佐原くんにね。…あ、知ってるよね、佐原くん、2つ下の。告白されたの」

「…え?」


遥ちゃんが顔をじっと見てくる。
そんなに見られると恥ずかしいな、なんて思ったりして。


「遥ちゃん?…」

「で?つきあうの?」


遥ちゃんの方を見ると真剣な表情。
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