幼なじみの彼とわたし
「あ、ううん、断ったんだけどね。『彼氏いるんなら諦めますけど、好きな人なら大丈夫。徐々にでも好きになってもらえるようにがんばります』って言われて。前向きだなぁって。諦めないところとかなんか尊敬した」

「へぇ」

「だからさ、わたしももうちょっと片想いがんばろうかなって」

ふふ、と力ない笑いが出てくる。
張本人相手に何宣言してるんだ、っていうもう一人の自分からの突っ込みが聞こえてきそうだ。


「そっか、じゃあ、俺も」

すると、遥ちゃんが急に立ち止まった。

振り返って見てみるとさっきよりさらに真剣な眼差しでこっちを見ている。
目力で顔に穴をあけられそうな勢いに、わたしが少し首を傾げると、遥ちゃんはわたしの両肩に自分の両手をのせ、わたしの目を見つめて言った。


「全力で落としにいくから」


え?


「だから俺のことしっかり見てて」


さっきまでの目力がどこかに行き、とても優しい目と声でつけ加えた。

心臓がドキッと音をたてて何も声が出てこない。
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