幼なじみの彼とわたし
「ちょっと待って。なんで亜衣紗が遥平くんがわたしに対してもそんな態度だって知ってるわけ?」

「え?」


千尋にも笑いかけてたの見てるし、歩くのだって合わせて歩いてた。…と思う。


「亜衣紗がその場にいるからでしょうが!言っておくけど、亜衣紗がいるときにしか王子さまスマイルないからね。超レアなんだから」

「そんなこと…」

「ある!」

「……」


返す言葉が見つからない。

千尋と話をしていると、遥ちゃんにとってわたしは特別だって言われているみたいな気になる。
勘違いしたくはないんだけれど。


それまで、わたしと千尋のやりとりをずっと聞いていた森田さんが口を開いた。


「よし、ここまでにしよう。続きはまた今度、ということで。ね?話題をかえて飲みなおそっか」


「はいはい、グラス持って」「乾杯するよ」なんて、一人で盛り上げてくれている。

千尋もなんだかんだで楽しそう。
鬼モードから女の子モードにも戻ったみたいだし、さすが森田さん。


ほんといい人だなと心から思った。

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