幼なじみの彼とわたし
「亜衣紗ちゃん、ここから家近いの?」


お開きになり、森田さんが聞いてくれる。


「電車で2駅」

「どうしよう、帰り。危ないよね」

「あ、大丈夫大丈夫。通いなれた道だから。ふたりも気をつけて帰ってね」


そう言って、駅の方へと歩こうとして、お店の向かいにある電柱に目を向けると、見慣れた顔があった。


「遥ちゃん?なんでこんなとこにいるの?」

「あ、わたしが呼んだの。亜衣紗のとこ、変質者出るんでしょ?それにちょっと話をしたほうがいいんじゃないかと思って」


話?
さっきの話のことを言ってるのだろうか。


「酔った勢いでもいいから、今日ちゃんと気持ちを伝えるのよ!」
「ムリだよ」
「そんなの言ってみないとわからないじゃない」
「でも…」
「報告楽しみに待ってるから」
「ちょっと!」


千尋とこそこそと話をしている間に、森田さんと遥ちゃんは自己紹介をしていたらしい。


「じゃあ、亜衣。帰るぞ」

「千尋も帰ろうか」


千尋と森田さん、遥ちゃんとわたし、それぞれ帰り始める。
遥ちゃんは車で迎えに来てくれていたらしく、近くのパーキングまで歩いていく。


「あのふたり、つきあうことになったんだって!」


ここ最近一番のニュースだ。
遥ちゃんに教えてあげる。
< 138 / 229 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop