幼なじみの彼とわたし
「遥ちゃん?」

「亜衣。俺もずっと好きだったんだ。たぶん、亜衣よりもずっと前から」


嘘!?
どうしよう、我慢していた涙が出てくる。
もちろん嬉しいほうの涙だ。

顔を遥ちゃんの方に向けると、真っ赤な耳が視界に入る。
わたしも顔を見ようと、慌てて涙を手でぬぐって遥ちゃんから離れようとすると、「見ないで」とさらに腕に力を入れて閉じ込められる。


ずるい。


でも、確認しておかないといけないことがある。

「でも…、…遥ちゃん…、好きな…人…が…ひっく、いる…って」

「うん」

「じゃあ、ひっく…ダメじゃん、こんなことしてたらぁぁー」


言ったとたん、腕の力が抜けて体が自由になる。

「亜衣。俺の話聞いてた?ついさっき、亜衣がずっと好きだったって言ったところなんだけど」


視線が若干冷ややかだ。


「…えっ、好きな人ってわたしだったの?…でもいずみん…」


遥ちゃんが好きっていずみんに言ったとき、『遥ちゃんには好きな人がいる』って言われて、失恋したってずっと思ってたのに。
衝撃だ。

そんなわたしの心の声が聞こえたのか遥ちゃんは続ける。


「いずみはずっと前から俺の気持ち知ってたからな。俺は亜衣が『失恋した』って言ったのを聞いて、俺が失恋したと思ったけどな」


そう言うことだったんだ。
笑えてくる。
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