幼なじみの彼とわたし
「いずみん『意地悪してごめんね』『絶対気持ち伝えるのよ』って言ってた。そういうことだったんだね。そのときは意味わからなくて、ただひたすら落ち込んでた」

「そうだな、あのときはよく泣いてたもんな、寝るくらいに」

「もう!」


バシッと遥ちゃんの腕を叩く。
でも、よかった。
好きな人と気持ちが通じて。
余韻に浸っているとーーー。


「じゃあ、今日泊まっていっていい?」

え?
この流れで泊まるって…。えぇーーー?
目の前では遥ちゃんがおかしそうに笑っている。


「亜衣、百面相してるよ。大丈夫、何もしないから。それとも、何かしてほしいの?」


最後の一言はわざと耳元で言うんだから意地悪だ。
そして、「亜衣、顔真っ赤だよ」なんて笑ってるから悔しくなってくる。


「もう!!」

遥ちゃんの膝の上からおりてラグの上に座る。


「亜衣、やっぱり俺はしたい」


え?
と、遥ちゃんのほうに顔を向けると、チュッとキスが降ってきた。
それは唇ではなくほっぺに。
それだけで顔がさらに赤くなったのを自覚する。


「本当は口にしたいんだけど。亜衣はまだそこまでじゃないでしょ?俺も今気持ちが昂ってるし。また今度ね」


そう言ってふわっと笑った。
わたしの好きな笑顔だ。
恥ずかしいけど幸せ。
ドキドキしている鼓動をしずめようと、心を落ち着かせていると。


「よし、風呂でも入るか」

「え?」


一緒に入るってこと?
えぇーーー?

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