幼なじみの彼とわたし
そうだったんだ。
いずみ、亜衣にははっきり言わないと伝わらないぞ。
て、俺も人のこと言えないか。


想いが通じた今日、帰る気にはなれなかった。
今日は金曜日だから、明日から週末で休みだ。


「じゃあ、今日泊まっていっていい?」


お得意の妄想なのか、亜衣がテンパっているみたいだ。


「亜衣、百面相してる。大丈夫、何もしないから。それとも、何かしてほしいの?」


最後の一言はわざと耳元でからかうように言う。
そして「亜衣、顔真っ赤」なんて追い討ちをかける。
ちょっとやり過ぎたかな?
目の前には少し怒ったような表情の亜衣の顔。


「何にもしてほしくないから!」

亜衣はそう言うと、ツンとした顔をしてラグの上に座った。
そんな顔もかわいい。


「亜衣、やっぱり俺はしたい」

反応した亜衣が顔を上げた瞬間に、チュッとキスをする。
ほっぺに。
赤かった亜衣の顔がもっと赤くなる。


「本当は口にしたいんだけど。亜衣はまだそこまでじゃないでしょ?俺も今気持ちが昂ってるし。また今度ね」


俺はいつでもあれこれしたいんだけど。
って俺は猿か。
でも、亜衣の気持ちを待ちたいから。


「よし、風呂でも入るか」


とりあえず、お風呂にでも入って冷静になりたい。
亜衣は俺が誘ったと思ったのか、アワアワしている。
おもしろいな。
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