幼なじみの彼とわたし
「くくく。一緒に入ろうとしてくれた?でも大丈夫、今日は俺ひとりで入ってくるから」


ホッとしてる。
かわいすぎだろ。


「でも、そのうち一緒に入るから」

耳元で言ってみると、体がビクッとして、また俺の言葉に反応してくれたとわかり嬉しくなる。
バスルームに行き、鏡を見るとにやけた自分の顔が目に入る。


亜衣はもう俺のものだ。

そう思うと喜びがおさえきれない。
「よっしゃー!」と叫びたいのをグッとこらえて、ガッツポーズをしてしまう。

俺も相当だな。


初めて同じベッドで寝る。
シングルの亜衣のベッドにふたりはやっぱり狭いな。
最初は恥ずかしがってたくせに、すぐ寝息をたて始めた亜衣。
本当かわいいやつだ。


翌日、亜衣が千尋に電話を掛けている。
俺らの報告らしい。
なのに、少し話しただけで、すぐ俺にかわってくる。

出てみると案の定。


告白までが長すぎだの、ちゃんと大切にしろだの。
説教なみの言葉の数々。

返事も「うん」「わかってるよ」でまかなえることばかり。


とくに、亜衣からの告白に便乗して俺の気持ちを伝えたことが気に入らないらしい。
俺だって自分にがっかりしているよ。
でも、亜衣のことになると自分でもびっくりするくらい臆病になってしまうんだから仕方ないじゃないか。


でも、最後に「亜衣紗のことずっと幸せにしてあげてね」としんみり言われて、思わず言葉につまる。
千尋もなんだかんだで亜衣のこと大好きだからな。


「あぁ。今までありがとう」

そう返事をして電話をきった。

< 154 / 229 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop