幼なじみの彼とわたし
「あぁーー、ほんっとによかった。安心した」

いずみんは脱力、といったかんじだ。
本当にホッとしているのがわかる。


「ありがとね、いろいろ」

いずみんのおかげで自分の気持ちに確信が持てて前に進めたのかもしれない。
そんなことを思っているとーーー。


「今日西本さんとぶつかっちゃった。いい日だわー!!」
「えぇー、ずるいー!」
「西本さんさ、最近さらにカッコよくなてない?」
「彼女できたって聞いたけど?」
「嘘?」
「だから男に磨きがかかってるってことか」


そんな話し声が聞こえてくる。
たまたま近くに座った女性三人からのようだ。
“西本さん”はおそらく遥ちゃんで、彼女たちはおそらくわたしより年下だろう。


「彼女って、ここにいるのにね」

いずみんも聞いていたようで、小声で言ってくる。
そのはずなんだけど…。


「まだ一年目の子らしいよ」
「そうなの?」
「うん、一緒にいるところ見たって誰か言ってた。しかもそのツーショット見たの何人かいるらしい」
「どんな子どんな子?」
「髪の毛はショートで背は165くらい?」
「それ絶対お似合いじゃん」


それ、明らかにわたしではないよね。
一気に血の気が引いていくのがわかる。


「亜衣紗ちゃん?」

「あ、うん、大丈夫」


ほんとは全然大丈夫じゃない。
その女の子が気になって仕方がない。
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