幼なじみの彼とわたし
「遥ちゃんはやっぱりモテるね。ほとんど残ってないじゃん。」

遥ちゃんの服装を上から下まで指差しながら笑って言う。


わたしも何かもらっておけばよかったな。

全然もらう気はなかったけど、他の子が遥ちゃんのものをもらっていると思ったら、なぜかもらわなかったことが悔やまれてきた。


「だろ?俺もびっくり!もらいに来る子いるんだな。一瞬裸で帰ることも覚悟したよ」

好きな人のだけもらうんじゃないんだな、と笑いながら改めて自分の服装を確認している。


「だって遥ちゃんのだよ?そりゃみんな欲しがるって」

遥ちゃん、カッコいいもん。
憧れてる女の子多かったのよ。
本人は気づいてなさそうだったけど。


「ヒロの流れでもらってくれたんだよ」

いつものようにわたしの右隣をわたしの歩くペースに合わせて歩いてくれる。

ヒロとは遥ちゃんの親友のヒロユキくん。
これがまた背が高くてスポーツマンタイプのイケメンで。


類は友を呼ぶっていうやつ?
遥ちゃんとヒロくん二人の人気は格別だった。
遥ちゃん派かヒロくん派かでよく話題になってたっけ。


「モテるよ、遥ちゃんは。わたしなんて見て?フル装備だよ」


自嘲しながら遥ちゃんの前で手を広げてくるっとまわって見せる。


「ほんとだ。じゃあさ、亜衣のリボン俺がもらう」


難なくわたしの首もとからリボンをとって手に持っている。


「う、うん…」


びっくりしていると今度はわたしと向かい合うように立って後ろ向きで歩き始めた。


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