幼なじみの彼とわたし
言いながら気づいた。
やってしまった、って。
森田さんの前で千尋の元カレの話なんて。

途中でやめたけど、もう遅いよね。。
ただでさえ森田さん、鋭そうだし。


「千尋が元カレに指輪もらってて、それを亜衣紗ちゃんもはめてみたの?」


その通りだ。


「亜衣紗、わたしと同じくらいじゃない?これはめてみて?」と貸してくれたことがあった。
そしたらピッタリだったのだ。


「じゃあ、ちょっとまたここで測ってみて?」

そう言われて、店員さんと指輪のサイズを測る。


「ありがとう、亜衣紗ちゃん。覚えとくね」


森田さんはそう言うと、「やっぱりネックレスにしようかな」と言ってネックレスを見始めた。
指輪じゃなかったのかな。


「ねぇ、亜衣紗ちゃん。千尋、これとかどうかなぁ?」


森田さんが指差しているのは、ネックレスに小さなリングがついているもの。
ピンクゴールドの小さな指輪がついてるみたい。
かわいい。


あ、男性用もある。
男性用はシルバーでもう少しボリュームがあってカッコいい。


「すっごくかわいい!千尋、好きだと思う。ペアになってるんだね」


遥ちゃんと恋人になってから、ペアのものばかりに目がいってしまって仕方ない。
わたしも遥ちゃんとペアのもの買ったし。

浮かれてるのかな、わたし。


なんて思ってる間に、森田さんは「これ、プレゼントにしたいんですけど」と店員さんに言っている。

千尋へのプレゼントをわたしが先に知ってしまって、なんだか後ろめたい気持ちにもなるけど、千尋が喜ぶ姿が想像できて、なんだかにやけてしまう。
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