幼なじみの彼とわたし
ふと、スマホが気になって見てみると、遥ちゃんからの着信履歴が残っていた。
何の用だろうか。
森田さんはまだお会計の手続きなどをしている。

かけ直してみよっと。

通話中になったものの、なかなか遥ちゃんの声は聞こえてこない。


「もしもし?」

「どちら様でしょう?」


女の人の声だ。
慌ててスマホの画面を確認してみるけど、かけ間違いではなさそうだ。

どちら様?ってこっちのセリフだ。


「あの、西本さんのスマホじゃ…」

「そうですけど」

「あの西本さんは…?」

「あ、今ちょっと出れないみたいで」


出れないってどういうこと?
この女の人が代わりに出るってどういう関係?


「あの…、あなたは?」

「あぁ、わたし?わたしは遥平くんの……」

「ちょっと、さくら!何してんだよ!?」


女の人の後ろで遥ちゃんの声がする。
女の人、さくらって言うんだ。
呼び捨てにするってことは、仲いいんだね。
少し間があいてるけど、ふたりで話をしてるのかな。


「もしもし?亜衣?ごめん、さくらが…」

「ごめん、邪魔したよね。またかけるね」


何か声が聞こえてきたけど、一方的に通話を切ってしまった。
さくらって誰よ。
ふと、この前見たショートカットの背の高い女の人が頭をよぎる。


まさか。
あの人がさくらさん…?

やばい、泣きそうだ。


すると、商品を受け取ったらしい森田さんがやって来た。
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