幼なじみの彼とわたし
聞き終わった森田さんの第一声はこれだった。
昨日から思ってたけど、「遥平」とか「あいつ」とか。
遥ちゃんと森田さんって仲よくなってたの?


ふと疑問に思う。


「森田さんと遥ちゃんって…」

「あぁ、あのあと1回飲みに行ったんだ。千尋と亜衣紗ちゃん仲いいから、俺らも仲よくなってたほうがいいだろうって」


へぇ、そんなことがあったんだ。
なんか嬉しい。


「って、そんなこと今はどうでもよくて。……とりあえず、ちゃんと話をしてみたら?……いや、違うか。どうしたらいいんだろうな。……でもなぁ」


何かぶつぶつ言っている。
森田さん、真剣に考えてくれてて、ほんと優しいなと思う。
こういうの、気持ちが嬉しいよね。


「森田さん、ありがとう。もう大丈夫だから」

「あ、いや、俺は何にもしてないけど。ごめん、役に立たなくて。でも、クリスマス会う約束してるんでしょ?」


うん、と頷く。


「楽しみにしてたらいいと思うよ」


ニコッと笑っている。
楽しみは楽しみだったんだけどなぁ。
今のところキャンセルは言われてないから約束したままだけど、いつ断られるかわかんないし。
でも、断られたら凹むなぁ。
また気分が沈んでいく。


「亜衣紗ちゃん、帰ろうか。送っていくから」

「あ、いや、ここで大丈夫」

「でも、亜衣紗ちゃんのところ、変な男が出るんだろ?それに、遥平ともその約束だから」


そんなことまで話してたんだ。

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