幼なじみの彼とわたし
「森田さんかぁ…」


何をどこから話せばいいのやら。
悩んでいると、向かいに座っていた麻ちゃんは、おいでおいで、という風に手招きをする。

少し麻ちゃんのほうに体を乗り出してみると、麻ちゃんも体を乗り出して来て、耳元でこそこそっと何かを言った。


「森田くん、○%×$☆♭#▲!」


…ん?


「……ごめん、もう1回言ってくれる?」


何言ってるのかさっぱり聞き取れない。


「だーかーらー!…森田くんは、わたしの運命の人だと思うの」


だーかーらー!の声は大きかったのに、あとは声が小さくなっていくから、聞き取りにくい。
でも、麻ちゃんのほんのり色づいた顔を見て、恐らく聞き取れたことが間違ってないのでは?と思う。


えぇーーーー!!!


これでもかっていうくらい目を見開いてたと思う。
大声で叫ばなかっただけ自分で自分を褒めてあげたい。


「麻ちゃん?本気?」


顔をのぞきこむと、暑いー、と言いながら、手で顔をパタパタとあおいでいる。

…っ!!

びっくりすると声がでないって本当なんだね。
ってそんなこと言ってる場合じゃなくて。


「あ。そういえばさ、前に自分磨き週間って…」

「あ、うん、そうなの。ふふふ」

「麻ちゃん、じゅうぶんキレイなのに」


お世辞じゃなく。


「亜衣紗に言われてもねー。好きな人に少しでもきれい、かわいいって思われたいじゃない?」


そこで麻ちゃんのほっぺが少し赤くなる。
えぇーーー、意外すぎる。

というか。


森田さん、モテすぎじゃない?
しかも、森田さんはすでに千尋と付き合ってるわけだし、ちゃんと言わないとダメだよね。
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