幼なじみの彼とわたし
「本当はさ、森田くんに会うまでニッシー派だったの。」


え?
麻ちゃんが話し始める。


「ほら、BBQ のときにわたし手を切ってニッシーが手当てしてくれたでしょ?もともとイケメンで就職してからずっとタイプだと思ってたのに、あのとき優しくてすっごいキュンとして。でも、いずみにニッシーはダメだって言われてさ。そんなときに森田くんに会ったのよね」

「え」


ちょっと待って。
いくつか爆弾発言あったよね?

ずっとタイプだったって。
手当てでキュンとしたって。

情報に対して処理能力がついていかない。
フリーズ。


「大丈夫、もう心は完全に森田くんだから」


あ、そうなんだ。
…じゃなくて。


「いや、麻ちゃん。森田さんね?」


そこまで言いかけたところで、麻ちゃんの声がかぶさってくる。


「あ、やば!戻らなきゃ。ちゃんと想ってること伝えないと。後悔したくないじゃない?当たって砕けろ、みたいな?当たる前から砕けたくはないじゃない?だから亜衣紗、よろしくね!」


もう食べ終わったらしい麻ちゃんはバタバタと片づけて行ってしまった。


えぇーーー。
言いそびれた。


でも、麻ちゃんらしい。
“当たる前から砕けたくはない”
ほんとそうだよね。
もし、クリスマスの予定キャンセルされてもまた想いを伝えるだけ伝えてみようかな。
後悔しないために。

決戦はクリスマスだ。

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