幼なじみの彼とわたし
「ありがとう。じゃあ、亜衣にも何かあげる。何がいい?」


遥ちゃんは聞いてきた。


「何がいい?って、もう残ってないじゃん」


遥ちゃんはもう一度自分の服装を見て苦笑いを浮かべている。


「確かになぁ。でも、もらうだけじゃなくて交換がいいんだよなぁ。ネクタイとっとけばよかったな、失敗した」

「ほんとだよー」


また目線を道路に落としてふてたように言うと、足元を見てるわたしの頭に何かが当たるのがわかった。

ぱっと顔をあげると頭ぽんぽんをしてくれてる遥ちゃんと目が合う。


ドキッとしてしまったわたしの顔は瞬時に赤くなっただろう。
それに対して遥ちゃんは余裕の笑顔だ。


「久しぶりにした、これ」

これ、とは頭ぽんぽんのとこ。



遥ちゃんは物心ついたときにはもう傍にいてくれる存在だった。
同級生だけどお兄ちゃん的存在だった遥ちゃんは、わたしが落ち込んでいたり、元気がなかったりするといつも頭ぽんぽんをしてくれて。
わたしはそれが嬉しくて、いつもすぐ笑顔になれてたっけ。


小学生くらいまではしてくれてたと思うんだけど、最後にしてくれたのはいつだったかな。
そのときには嬉しさのほうが勝ってたけど、今は恥ずかしさのほうが勝るかも。

でも、やっぱり遥ちゃんに笑顔を向けられて頭ぽんぽんしてもらえるのは嬉しい。

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