幼なじみの彼とわたし
確かにな。
そんなことまで考えてなかったから、森田くんの話に少し驚いた。


「だろ?よかった、西本くんがそう言ってくれて。ということで、呼び方なんだけど」

にこにこと嬉しそうにしている。
いつも楽しそうだよな、と思う。


「は?呼び方?なんでもいいだろ」

「じゃあ、俺は遥平って呼ぶから、俺のことは悠希って呼んで」

わざわざ呼び方まで指定してきた。
就職してから上の名前で呼ばれることが多かったから、下の名前で呼びあうのも新鮮でいいかもな、と思いOKをすると、悠希は嬉しそうな顔をした。


「で、要件その2なんだけど…」

「何?」

さっきの“要件その1”より言いにくそうだ。


「千尋にクリスマスプレゼントを買いたいんだけどさ。やっぱり千尋好みのもの買いたいじゃん?でも、本人に直接聞くのもちょっとなーと思ってさ」

俺に買い物つきあえってこと?


「…俺、千尋のことはあんまり知らないんだけど」

「違うわ!男ふたりでジュエリーショップなんか行かねぇーし!!」


確かに。
男ふたりで指輪やネックレスを選んでいる構図を想像して、ないな、と思う。


「じゃあ何?」

「亜衣紗ちゃん借りたいなと思って」


あぁ、俺じゃなく亜衣紗のほうか。
でも。
千尋とつきあってるけど、悠希って最初は亜衣紗のこと狙ってなかったか?
ふたりで買い物に行って大丈夫か?

思っていることが珍しく顔に出たらしい。
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