幼なじみの彼とわたし
「あ、さくら?俺だけど」

「あ、遥平くん?何?」

「なぁ、俺に料理教えてくれないか?」

「…は?」


そう、自分で作ってもてなすことにした。
クッキングサイトもあるけど、手取り足取り教えてもらったほうが覚えるんじゃないかと思って。

さくらとは特別仲がよかったわけでも、悪かったわけでもなく、会えば話をする程度。
たぶん、なんでわたし?と思っていたと思うけど、亜衣のまわりの女子に頼めば、亜衣の耳にも入りそうな気がして、亜衣の知らない人に頼むことにした。


それから少しして、さくらが俺の家にやって来た。


「何、このキッチン?使ってないの?」

俺の家のキッチンを見て、ビックリしている。
料理しないから、調味料や調理器具が少なすぎるらしい。


「うん、料理しないからな」

「そんなんでできるの?それより、何作るか決めた?」


年は俺の方が上だが、今はさくらのほうが立場が上だ。
とりあえず、思いついた料理を挙げてみる。


「これじゃムリだから。いろいろ買いに行かないと。たぶん、練習も1回じゃムリだよね。何回かしないと」

さくらはサバサバしているから、言い方も少しキツい。
こういうとき、亜衣はもっと優しく言ってくれるんだろうな、とさくらと亜衣を比べていると。


「近々買いにいくよ?練習も時間があるときには来るから。何回か練習ね」


頼れる師匠だ。
そんなこんなで、仕事終わりにさくらとキッチン用品を買いにいった。
そこを亜衣といずみに見られてたわけだけど。
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