幼なじみの彼とわたし
その後も亜衣の部屋には行かず、さくらと練習したり、ひとりで練習したり。
包丁の使い方からわからなかったもんな。
本当に大変だった。


そんなある日、悠希からLINEが来た。

『今日これから亜衣紗ちゃん借りるから。買い物して終わったら送り届けて連絡する』


律儀なやつ。
チャラそうに見えていいやつだな、と思いながら『了解』と返信する。


今日はさくらも来てくれるらしいから、オムライスの練習だ。

途中でやっぱり亜衣のことが気になり、電話してみたけど電話に出ず。
何事も一生懸命な亜衣だから選ぶのに集中しているんだろう、と思い、チキンライスを卵でくるむ練習をしていると。


「どちら様でしょう?」
「そうですけど」
「あ、今ちょっと出れないみたいで」


さくらの声が聞こえてきた。
声の方を見てみると、俺のスマホを耳にあてている。


…!!
やばい、誰からだ!?


「あぁ、わたし?わたしは遥平くんの……」


さくらは笑顔でまだしゃべっている。

“料理を教えている”とでも言う気か? 
そしたら、練習していることが亜衣にバレるだろ!
そうじゃなくても、余計なことを話しそうだ。


「ちょっと、さくら!何してんだよ!?」


慌ててスマホを奪い取り、相手を確認する。
やっぱり亜衣だ。
なんとかごまかさないと!


「もしもし?亜衣?ごめん、さくらが…」

「ごめん、邪魔したよね。またかけるね」


状況を説明している途中で一方的に電話が切れてしまった。
あれは勘違いしてるよな。。

ってか。
< 177 / 229 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop