幼なじみの彼とわたし
「なんで勝手に出るんだよ!」

矛先はさくらに向かう。
人のスマホに勝手に出るか、普通。


「そりゃ勝手に出たのは悪かったけど。ちゃんと、“わたしは遥平くんのいとこ”って言おうとしたらそっちが割り込んできたんじゃない」

「普通割り込むだろ?勝手に電話してるの見たら!どうしてくれんだよ!!」


どうにかされても困るけど。
勘違いされたという焦りからか、どうしても声が大きくなってしまう。
それとは対照的にさくらはにこっと笑う。


「遥平くん、怒るんだね」


は?
何言ってんだ?


「ちっちゃいころからよく見てきたけど、遥平くんがそんなに大きい声だすの初めて見た。ちゃんと怒ることもあるんだね。まぁそりゃそうか。昔っからだぁーーーい好きだった亜衣紗ちゃんと両想いになれたんだから」

「うるさい」

「今度は顔が赤くなった。今日の遥平くんおもしろい!いろんな顔が見れる」


笑ってるし。
こいつ、誰がどう見ても俺をからかってるよな。
顔が憎たらしい顔になっている。

でも。
何を言っても駄目そうだ。
戦意喪失。
料理を教えてもらっている身としては、もう少し教えてもらいたいし。


「はいはい」

この話は終わり。


オムライスもなんとか仕上がったところで、さくらは「逃げられないようにもっとがんばんなよ?」と言い残して帰っていった。

亜衣の家まで行ってみようか、それとも電話?
スマホを見ると、森田からLINEがきていた。
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