幼なじみの彼とわたし
ただ、遥ちゃんは余裕で、わたしだけがドキッとしているのが少し気に入らない。
困らせたい!と思ったわたしは遥ちゃんから貰うものを頼んでみた。


「じゃあ、チュッてして」

ここにね、とニコッと笑いながら自分の左ほっぺをツンツンしながら言ってみる。


ふふ、ちょっとは焦ってくれたかな?


ドヤ顔で遥ちゃんの顔を見ると、びっくりした顔でフリーズしている。

よし、作戦どおりだ。


「ドキッとした?大丈夫、冗談だから。えーっと、何もらおうかなぁ。でも、ないんだもんなぁ」

何事でもなさそうな空気を装いつつ、改めて遥ちゃんを頭から足先まで見ていると、頭の上でふぅーっと息をはく音が聞こえてきた。


「よし、いいよ。顔あげて?」

「えっ?」


何がいいの?と遥ちゃんの顔を見ようと顔をあげると、肩に遥ちゃんの手の感触を感じた。

そして、そのことに気づいたときには、目の前は遥ちゃんでいっぱいだった。



ーーーえ?



頭が真っ白になっていると、だんだん遥ちゃんの顔が小さくなっていった。
唇に感じた少し乾いているけれどやわらかいものが離れたことを認識する。


唇にキスーーー!!


「ちょ…、ちょ……」

何か言いたいけど声にならない。


「亜衣、これでいいかな?」

ニッコリ笑ってる遥ちゃんはやっぱり余裕の表情だ。


「え?いや、わたしほっぺにって…。てか、冗談って……」


やっぱりドキッとしたのはわたし。


< 18 / 229 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop