幼なじみの彼とわたし
「以前高森さんにこわい思いをさせたのは僕です。本人も知っていてちゃんと謝罪して許してもらってはいます」

亜衣、知ってたのか。
何も言ってなかったよな。
とりあえず、それはおいといて。


「なんで?」

「僕、高森さんが好きなんです」


あぁ、亜衣、告白されたって言ってたよな。


「で?」

「いつか帰りが一緒になったときに、最寄り駅が一緒っていうことがわかって。つい、どの辺りに住んでるのかなぁって」

目の前でがっくり肩を落としている彼を見て、あまり強くは言えないな、となぜか思う。


「亜衣のあとをつけた?」

「はい。でも、高森さん、コンビニに寄ったりスーパーに寄ったりして、全然真っ直ぐ帰らないから見失うこともあって。だから、何回もついていって…」


この男、コンビニやスーパーの前で待ってればそのうち出てくるのに、一緒に中に入って亜衣に見つからないように隠れながら店の中でも見ていたらしい。
で、手ぶらで出るのも悪いと思ったらしく、毎回何か買うからレジのところで見失っていたとのこと。


いいヤツなのか。
それともーーー。


「そしたら、あの辺り変質者がいるって噂になってて…」


そりゃな、その格好できょろきょろ探してたらそう思われるだろ。


「高森さんに何かあったら大変だと思って、早く帰った日はいつもあの辺りで見守ってたんですけど…」

「…見守ってたってどういうこと?」

< 184 / 229 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop