幼なじみの彼とわたし
「変質者が高森さんを狙うといけないと思って、時間があるときには近くで見てたんです。だから、西本さんがよく高森さんのところに行ってるのも知ってました。吉田さんに聞いたら“幼なじみなだけで付き合ってないし、彼氏もいない”とのことだったのに。あの日、高森さん、車で男の人に送ってもらってたんです。それで西本さんと車の男とで二股かなって。二股がOKなら三股でもかわりないんじゃないかって」


そういうことか。
なんとなくわかってきた。


「あの日、車で送ったのは俺だから。そもそも会社から一緒に帰ることになったのも、車で送ることになったのも、この辺りに変質者が出るってなったから。わかる?」

「わかりますよ。僕だって高森さんを変質者から守りたいと思ってたんですから」

「じゃあ、その変質者っていうのが、佐原くんだってことは?」

「…は?僕?僕は変質者が出るっていうから高森さんの家の近くで見守ってただけで…」


マジか。
まぁそうだよな。
マジメなヤツっぽいし、この反応からして本当に自覚はなかったんだろう。


「だからそれだよ。まずは亜衣の家を探してうろちょろしていたのが他の人からは不審者に見えたんだと思う。そのあとまたうろついてたんだから、端から見れば十分に不審者だろ?例え彼女を守ろうと思っていたとしても」

「えぇー、そんなこと。。じゃあ僕は自分から高森さんを守ろうとしていたってことですか?」


まぁそうなるよな。
と思うよ、と言うと、彼は一気にうなだれた。

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