幼なじみの彼とわたし
ちょうど料理が運ばれてきた。
食欲がないのか遠慮しているのか、がたいの割に食が進んでいないみたい。


「…西本さん」

「何?」


彼の顔を見るといつになく真剣な表情だ。


「僕、…捕まりますか?」

「はぁ?」


質問に驚いて唐揚げを吹き出すところだった。
捕まるって。


「変質者として、僕、捕まるんですかね?」

「いや、それは大丈夫なんじゃない?」

すると佐原くんは、「よかった」と少し笑った。
なんだかんだでいいヤツそうじゃないか。


「西本さんと高森さん、つきあってるんですか?」


それで少し気分があがったのか、佐原くんは心なしか楽しそうにに聞いてくる。


「うん、まぁ」


君がこわがらせてくれたおかげでその日にな。
とは思うだけで言わないけど。


「やっぱりそうですよねー。あんなにべったりくっついて帰ってくるんですもん。あんなにニコニコ歩いてたら、やっぱり好き同士ですよねー」

「ぶふっ」


白米がいくつか口から飛び出した。
べったり、のつもりはないし、俺と言えばポーカーフェイスが売りなんだけど。


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