幼なじみの彼とわたし
「西本さん、顔赤いですよ。で?クリスマスはやっぱりふたりで?」


人柄がかわった?と思うくらい嬉しそうに聞いてくる。
俺は頷くだけだけど。


「でも、今日はケンカですか?高森さん泣きながら走って帰ってきましたよ?」


やっぱり泣かせてたか。
そうだよな、亜衣の不安を拭えるような答え、してないもんな。


「もうすぐクリスマスですよ?大丈夫ですか?しかもこの前は爽やか系の男の人に送ってもらってましたよ?」


さっきまであんなに凹んでいたのに、今度は質問攻めだ。
ほっといてくれ。


「大丈夫だから。その男のことも俺知ってる」

「そうなんですか。高森さん、見かけによらず特定の男性作らないタイプかと思って、また想いを伝えようかと思ったんですけどね」

「は?」


思ったよりドスのきいた声が出たようだ。


「冗談です!きっぱり諦めます!」

「そうしてくれると助かる」


そこから怒濤の勢いで食事をとり始めた佐原くん。
ふと思い付いたように顔をあげる。


「西本さん。僕に任せてください!クリスマス当日、高森さんが定時で帰って、ちゃんと西本さんのもとに行くようにがんばります!」


どう頑張るのかはわからないけど。


「お、おぅ」


佐原くんの勢いに押されぎみに返事をすると、彼は鼻息荒く「頑張りましょうね!」と言っている。
やっぱりいいヤツそうだ。


そう言えば、その作戦?みたいなものは聞かなかったけど大丈夫だろうか。
少し心配でもあるかな。

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