幼なじみの彼とわたし
「今日クリスマスじゃないですかー。だから、みんな予定があって様子見にいけれないらしいんですよね。でも、独り暮らしだから心配ですよね」


同期の顔を思い浮かべてみると。
確かにね、みんな予定がありそう。
でも、今まで調子悪くても一人で過ごしてきてるよ?
もう大人なんだし。


「詳しくは知らないんですけど、熱が高かったらしんどいですよね。ごはんも作れないだろうし、何より心細いと思います」


確かにね。
しんどいし心細い。
ふと佐原くんの顔を見ると。
あれ?佐原くん?
なんか表情が心配そうじゃないんだけど。


「僕が行ってもいいんですけど、そんなに面識ないし」

「……」


今までは遥ちゃんからヘルプの連絡があったら行ってたけど、今回はわたしには何も言ってこないから、一人で大丈夫なんじゃかいかな。
さくらさんだっているし。


「でも、心配ですよね、西本さん。今ごろ寝込んでるんですかね、クリスマスなのに。倒れてなきゃいいですけど。やっぱり心配ですよね。あぁ心配だ」

「佐原くん?」


心なしか棒読みに聞こえるのは気のせい?
心配する素振りが少し大袈裟に見えてきたのも気のせい?


「だから、高森さん、職場代表として、今日仕事終わりに行って様子見てあげてくださいね」


職場代表って。
佐原くんはほんのり笑顔になってどこかに行ってしまった。

わたしが?

今、そんな空気じゃないんだけどな、なんて思うけど、しんどそうな遥ちゃんの顔が浮かんできて、結局仕事終わりに行くことにした。

< 189 / 229 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop