幼なじみの彼とわたし
「ううん、わたしこそごめんね。電話やLINE無視してて」

「ほんと。どうしようかと思ったけど、とりあえず今日に賭けてみることにした。…ねぇ、亜衣?俺、まだ間に合う?賭けに成功?失敗?」


そう聞いてくる遥ちゃんはさっきよりも泣きそうな、とても情けなさそうな表情だ。
いつもクールなくせに。
ふわっと笑うくせに。
胸がぎゅっとなる。
そんなの決まってるじゃない!


「もちろん、大成功に決まってるじゃない。遥ちゃんのこと、もっともーっと好きになった」


そこまで言うと、涙が一粒こぼれてしまった。
と同時に「よかった」という声がして、体も遥ちゃんに包まれる。
久しぶりだ、この遥ちゃんのにおい。
隙間なくぎゅっと抱き締めてくれている。
大好きな人の腕の中ってこんなに落ち着くんだね。

よかった、って言うのはわたしのほうだ。


「遥ちゃん、ごめんね。あと、ありがとう」

「うん」


しばらく抱き締めてくれていた遥ちゃんの腕が緩んだ。


「せっかく作ったから食べよう。食べてくれるでしょ?」


もちろん食べる!

遥ちゃんはさっさと料理の準備の続きをしている。
切り替えが早い。


「いただきまーす」


ビーフシチューを一口食べてみる。


「おいしい!!」


自然と笑顔になる。
よかった、とホッとした表情の遥ちゃんと視線がぶつかる。


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