幼なじみの彼とわたし
「いや、なんでもない。もうちょっとキスしたい」


返事を待たずして、噛みつくようなキスがやって来た。
今にも食べられてしまいそうだよ。
遥ちゃんの舌にこたえるように、つたないながらもわたしもキスに想いをのせる。

聞こえてくるふたりの荒くなった息づかいが、さらに気持ちを煽ってくる。
どれくらいキスをしていただろうか。
もうどちらの唾液かわからない。

そしてしばらくして名残惜しそうに離れていく唇を見つめる。
肩で息をしてしまうほど息があがっている。
キスってすごい。
遥ちゃんが愛しくて愛しくてたまらない。


「ごめん、とまんなかった。でも、これ以上したらもっと止まんないから」


経験はなくても言葉の意味はわかる。
遥ちゃんとつき合うことになったときに、覚悟をしてはいたけど。
でも、何て言ったらいいかわからず、言葉を出せないでいると。


「お風呂入っておいで。泊まってくだろ?」


遥ちゃんが声をかけてくれた。

「うん」と返事をしてバスルームに向かう。


はぁ。
まだドキドキがとまらない。
もしかして今日このあと…とふとよぎり、いつもより念入りに隅々まで洗っている自分に赤面だ。

お風呂から出ると、遥ちゃんが貸してくれたブカブカのスウェットを着てリビングに行く。


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