幼なじみの彼とわたし
「わたしもあるんだ、プレゼント」

朝、迷ったけど持ってきててよかった。
急いでバッグのところに行き、プレゼントを渡す。


「ペアのものが欲しくて買っちゃった」

遥ちゃんが箱を開けているのをじーっと見る。
大きくて少し骨ばった手。
手もきれいだな、なんて思いながら。


「お、いいじゃん、これ!」

箱から時計を出して腕にはめてくれている。
遥ちゃんも気に入ってくれたのかな。
よかった。


「おそろのものがほしくて買っちゃった」

「そだな。本当嬉しいよ。大事にする」


笑顔で遥ちゃんを見ると、時計をはめた左手を眺めながらそう言ってくれた。
直後、視線をわたしのほうに向け、「この時計も亜衣のことも」と付け加えてくれた。


ドキッとしたのかキュンとしたのか。
心拍数が急上昇だ。
おそらく顔も真っ赤。


遥ちゃんの顔を見るのが恥ずかしくなって、遥ちゃんの手元にある腕時計に視線をうつすと、直後に下から掬い上げるように遥ちゃんがキスをしてきた。


「そんな顔をする亜衣が悪い」

唇はくっついたまま喋っている。
そんな顔がどんな顔かはわからないけど、こんな顔にさせたのは間違いなく遥ちゃんなのに。

好きな人のキスは嬉しい。


「亜衣、何もしないから一緒に寝よう?」

と言ってくれて。


ちょっと寂しい気分が半分とホッとしたのが半分と。
なかなか複雑だ。


でも、今まで生きてきた中で間違いなく1番幸せなクリスマスだ。

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