幼なじみの彼とわたし
「あ、そういえば、遥ちゃん!」と亜衣がこっちに急いで駆け寄ってくる。
そして、俺のおでこやら首回りやらをさわり始めた。
小さい頃、熱が出たときに母親がしてくれたのを思い出す。


って、亜衣の手は冷たいしくすぐったいし、なんなんだこれ。


「体調が悪くて早退したんでしょ?だから、途中でいろいろ買ってきた…んだ…けど」

「え?体調は見ての通り。ぴんぴんだけど?」


とそこで考える。
佐原が、俺が調子が悪いとかなんとか言って、早く帰らせたのか。
それなら辻褄はあうよな。

それにしても、さっきまでの俺を見てまだ調子が悪いと疑う亜衣も亜衣だよな。
そこがまたかわいいんだけどな。


理解しようとしているのか何なのか。
まだ何か考えている様子の亜衣に、しびれを切らしてしまった。


「もういいだろ」


今目の前にいる俺をもっと意識してくれてもよくないか?


そっと唇にキスをする。

今までは自制するために、軽めのでやめてたけど、今日はもう少し踏み込んでキスをする。
唇越しに亜衣がパニックになりかけているのが伝わってくるが、こっちもやめられない。


膝立ちだった亜衣の体を持ち上げて、ソファの自分の脚の上におろす。
物理的な距離が縮まったと同時に、さらにキスを深めていく。
戸惑う亜衣が逃げないように、片手で亜衣の後頭部を固定して。

しばらくして亜衣に押し返されて我にかえった。



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