幼なじみの彼とわたし
「で、もう遥平くんと寝たの?」

「…へ?」


寝たの?って、ベッドで添い寝ってことじゃないよね?

返事をしないことで察したらしい。


「へぇ、まだなのね。つきあってもう何ヵ月かたつんじゃない?」


確かに。
数ヵ月はたっている。


「い、いや、だだだって、そんな雰囲気にならないし」

声が小さくなっていくのを自覚する。


「遥平くんってさ、クールになんでも器用にこなしそうだけど、亜衣紗のことになるとほんとダメよね」


ため息混じりの声。
ダメって。


「わたしってそんなに女としての魅力がないのかなぁ」


凹んできた。


「本人に聞いてみたら?わたしは亜衣紗の問題じゃないと思うけど」

「じゃあ何?」

「それは本人に聞いてみたら?」


それ以上は教えてくれない。
余計にもやもやする。


その夜、遥ちゃんが来たときに聞いてみる。
しんみりするのが嫌だから、ごはんでも食べながら世間話のように。
でも、オブラートに包み方がわからないから直球で。


「ねぇ、遥ちゃん?わたしって魅力ない?その…女としての」

「ぶはっ!!」

遥ちゃんは口の中のものを吹き出しそうになり、慌てて手でおさえている。


「あ、ごめん、大丈夫?」


ティッシュを渡すと、遥ちゃんはティッシュで口の辺りや手を拭いている。


「何?急に」


そこまで言うと遥ちゃんは何か考えているようだ。

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