幼なじみの彼とわたし
「え?西本くん!?」
「ちょっと亜衣紗!わたしすっぴんなんだけど!」


服が引っ張られる方を見ると、珍しく麻ちゃんが焦った様子で小声で言ってきた。
でも…


「大丈夫、わたしもよ」

わたしもすっぴんだ。
仲間だね、みたいな空気で笑ってみる。


「いや、そうだけどー。わたしは抵抗大ありなんだけど!」

「麻ちゃん、すっぴんもキレイじゃない?大丈夫だよ、遥ちゃんだし」

麻ちゃんが小声だからわたしも小声。


一方いずみんは

「ごめんねー、昨日遅かったからさっき起きたところで」

座るスペースないよね、と遥ちゃんに言いながら端っこに寄せてた布団などを整えている。


「亜衣紗ちゃん、西本くんと約束あるなら言ってくれてたらいいのにー」

今度はわたしに向かって言っている。


「約束してないよ?お昼一緒にどうかなと思って、勝手に俺が来ただけ」

遥ちゃんは、気にしないで、とでも言うように答えている。


「え?やっぱりふたり付き合ってるの?」

すっぴんが…、なんて言ってた麻ちゃんだけど、かなり前のめりに聞いている。
だからさ、わたし、つき合ってないって言ってるよね?


「ううん、つき合ってないよ。な?」

とわたしに同意を求めてくる。


「うん!前から言ってるじゃん、幼馴染みなだけだって」

全力で否定する。


「でも、昨日亜衣紗ちゃん言ってたよね?」

「何を?」


わたしより先に遥ちゃんが聞き返す。


「麻ちゃんに貸そうとしてた服、西本くんのだって」

「え?言ったっけ?」


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