幼なじみの彼とわたし
「いずみ?それとも千尋?」

「え?」

「どっちが亜衣に余計なことを振り込んだの?」

「余計なことって」

「やっぱり千尋だな」


正解!

じゃなくて。


「うん。もう何ヵ月もたつのにまだなのかって…」

「やっぱりな」

ため息混じりだ。


「亜衣に魅力がないわけじゃないよ。千尋もそう言ってたんじゃないの?」


うん、確かに言ってた。
遥ちゃんってエスパー?
なんでわかったの?


「うん。でも…、言われてみれば、わたしこんなだしさ、なかなかそんな気にならないんじゃないかと思って」

ごめんね、と話を終わらせようとしたんだけど。


「俺がどんだけ我慢してると思ってんの?」


その声と表情にドキッとする。
食事中だと言うのに色気がむんむんだ。
ずるい。

というか。


「遥ちゃん、我慢してるの?わたし、我慢させてるの?」

それならそれで申し訳ない気持ちになる。
遥ちゃんの顔を見ると、ぽかんとした顔をしてフリーズしているように見える。

「遥ちゃん?」と声をかける。


「いや、ごめん、なんでもない。食べよう」


耳だけ少し赤く染めた遥ちゃんはまたごはんを食べ始めた。

この話題を出したのはわたし。
遥ちゃんが謝ることは何もないのに。


「ううん、わたしこそ食事中にごめんね」


なんとなく気まずくて、しばらく無言で食事をとることになってしまった。


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