幼なじみの彼とわたし
「遥ちゃん?…あの、わたし…」

「うん。初めてなのは知ってる。大丈夫、俺に任せて」


俺もかなり緊張してるけど、とつけ加える。
いや、そう言うことじゃなくて。
いや、そう言うことでもあるんだけど。
なんて言うか、緊張でパニックというか。


こんなに切羽詰まったような遥ちゃんは初めて見る。
ふぅーっと大きく息を吐いたあと遥ちゃんの目を見てうなずく。


遥ちゃんは「ありがと」と小さく言ったと思ったら、また深いキスをしながら、器用にわたしの服を脱がせていく。
やっぱり恥ずかしくて、両腕を胸の当たりでクロスさせていると、遥ちゃんも自分の服も脱いでいく。

大人になって初めて見る遥ちゃんの体。
だけど、恥ずかしいのといっぱいいっぱいなのとで、なかなか直視できない。


お互いに纏うものがなくなると遥ちゃんのキスはだんだん下におりてくる。
自然と甘い声が出てきて自分でもびっくりする。
恥ずかしくて手を口元に持っていくと、その手を掴まれる。


「亜衣?大丈夫?」


恥ずかしいだけで大丈夫は大丈夫だ。


「うん、大丈夫。でも恥ずかしい」


そう言うと遥ちゃんは、ふわっと笑う。
緊張してるなんて、そんな風には全然見えない。

でも、わたしはどうしたらいいのかが全然わからない。

わからない、って言ったほうがいいのかな。
何かしてと言われたところでそんな余裕はないんだけど。


「亜衣も俺のことさわっていいよ?……というより、さわって?」


わたしの掴んでいる手を自分の胸元に持っていく。
少しかたい、でもすべすべの遥ちゃんの肌。
撫でるように触っていると。
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