幼なじみの彼とわたし
ある日、遥ちゃんとわたしはある市役所にいる。
そう、今日はついに入籍の日だ。


「では手続きは完了です。お幸せに」


婚姻届はあっさりと受理され、わたしたちは晴れて夫婦となった。
少し離れた駐車場までゆっくりと歩いていく。


「よろしく、奥さん」


隣を見るとふわっと笑っている遥ちゃん。
「幸せにできるようにがんばる」と目を見て言ってくれる。
嬉しい。


「ありがとう。こちらこそよろしくね、旦那さん」


そう言い返すと、遥ちゃんの耳がほんのり赤くなった気がした。

空気を変えるかのように遥ちゃんが聞いてくる。


「なんで入籍日を今日にしたかわかる?」


あまり拘りはなかったから、深く考えてはなかったな。


「大安だからでしょ?」


そういうと遥ちゃんは「だよな」とポツリと呟いた。

ん?


「亜衣は覚えてないかもしれないけど。今日は俺たちの中学の卒業式があった日なんだ」


うそ、卒業式って11年前の今日だっけ?


「忘れてた」

「だろうね。この日って言ったときのリアクションで覚えてないんだろうなとは思ったけど」

「う、、、ごめん」


中学の卒業式の日って言ったら、ファーストキスの日じゃん!
なんでわたし覚えてないんだろう。


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