幼なじみの彼とわたし
「今度からは知らない人に教えたらダメだからね。わかった?」


何を言い返しても今はムリそうだ。
遥ちゃん怒ってはなさそうだけど迫力があって、声が出ないかわりにコクンとうなずいた。
そしたら、遥ちゃんはふわっといつもの笑顔になって


「わかればいいよ」

と頭ぽんぽんをしてくれた。


まただ。
最近よく頭ぽんぽんしてくれるよね。
顔がぱぁっと赤くなるのを自覚しながら、横で、麻ちゃんといずみんが目をまんまるくしたのが視界に入った。


ふたりに見られたーー!!


「にっしーの笑顔の威力ハンパナイ」
「ほんと、あんな笑顔初めて見た」
「亜衣紗がいるから見れる表情だよね」
「しかも、頭ぽんぽんって」
「わたし人生でされたことない…」
「わたしも彼氏にもされないよ」


そんなことをヒソヒソ言ってた。

聞こえてるよ…?


二次会も終わり、麻ちゃんといずみんと帰ろうとしたら、後ろから腕を捕まれた。
びっくりして振り返ると遥ちゃんで。

夜になっても相変わらずカッコいいけど、なんかいつもと違う雰囲気だなぁなんて見ていると。


「吉田といずみはまだこれから飲み直すらしいから。亜衣はこっち。俺と帰るよ?」

「え?そうなの?じゃあわたしも…」

「だーめ、亜衣は俺と」


遥ちゃん酔ってるのかなぁ。
でも、遥ちゃんに誘われたら断れないな。


「わかった。じゃあね、いずみん、麻ちゃん」

二人に手を振って遥ちゃんの隣に並んで歩く。
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