幼なじみの彼とわたし
「どうしたの?やっぱり遥ちゃん酔ってる?」

「あぁ、酔ってるのかもな」

「そっか」


びっくりしたけど、遥ちゃんと手を繋ぐのは嫌じゃない。
だから、手は繋いだまま。


でも、手を繋いでいる理由を考えてしまう。
なんとなく遥ちゃんに聞けれなくて、歩きながら頭をフル回転させる。


モーリーの結婚式の影響?
ちょっとそんな気分になっちゃった?
それともやっぱり酔ってるとか?
さすがに、迷子になりそうだからってことはないよね。


いやー、わかんない。

考えるのもめんどくさくなってきて、すぐに考えるのをやめる。


「久しぶりだね、手を繋ぐの」

「そうだな。」


そのまま何かをしゃべるわけでもなく、家に着くまでタクシーの中でもただ手を繋いでいた。


久しぶりに手を繋いだ懐かしさと、よくわからない恥ずかしさと。
最後に遥ちゃんと手を繋いだのいつだったか思い返してみる。


思い出せないくらい前だよね。


最後に繋いだ遥ちゃんの手はその時のわたしのとおなじような手だったのに。
今繋いでる遥ちゃんの手は、わたしのより遥かに大きくて少し骨ばってて、明らかにわたしとは全然違う手。
包まれているようでとても落ち着く。
ずっと繋いでいたいな、なんて。


遥ちゃんはわたしを送ってくれたあと、そのまま自分の家に帰っていった。


部屋に入ると今日の出来事を頭に思い浮かべる。
モーリーの結婚式だったのに、浮かんでくるのは帰り道でのことばかり。
今日の遥ちゃん、何だったんだろう。


へんなドキドキだけがいつまでも続いていた。
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