幼なじみの彼とわたし
遥ちゃんはいつも
「うまそー。いただきまーす」
と言って食べ始め

「うまいな」
と言いながら食べ進め

「うまかった」
と言って食べ終わる。


そして、毎回食べ終わると、わたしの方を向いて

「亜衣、今日もごちそうさま」

と目を合わせて、にっこり笑いながら言ってくれる。


実はこの瞬間はわたしがとても満たされる瞬間だ。
次は何作ろうかな、何作ったら喜んでくれるかな、そう思ってまた幸せな気分になるから不思議。


遥ちゃんと並んでお皿洗いをしたあとに、お茶を飲みながら一緒にテレビを見る。


遥ちゃんはソファの上、わたしはソファに凭れるようにラグの上に座るのがいつものポジション。


そういえば、いずみんが言ってたなぁと思いだし、遥ちゃんに話してみる。


「今週の金曜日、森田さん…モーリーの大学の同級生の人ね、この前結婚式にいた人。その人とごはん食べに行くことになった」

チラッと遥ちゃんの方を向くと、冷ややかな視線がこちらを向いている。


「…は?」

少し間があって返ってきたのはこの一言だけ。

聞こえなかった?


「だから、その森田さんとごはん行ってくるね、って」

「聞こえてる。…二人で?」

視線だけじゃなく声まで冷ややかだ。


「ううん、麻ちゃんも一緒。森田さんが『誰か連れてきてもいいよ』って言ってくれたから、麻ちゃんと行くことにした」

「ふぅーん。いずみは?」


なんで、そこでいずみん?


「いずみん?いずみんは彼氏いるから男の人がいるごはんはダメでしょ?」

「…まぁそうだな。好きな女が他の男と食事するなんていい気はしないな」


それっきり遥ちゃんはしゃべらなくなって。
しばらくしたら、またスーツに着替えて帰っていった。


なんか怒らせちゃった?
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