幼なじみの彼とわたし
森田さんの方を見ると、向こうもこちらを見ていたみたいで、バチッと視線がぶつかる。


「で?あわよくば、的な?」


麻ちゃん…!?

目は森田さんにむけたまま、また大きな口で食べてる。


「え、いや、そこまでは…」

「でも、そうじゃないと声かけないでしょ?」

口をモグモグしながら突っ込んで聞いている。


「え、ま、まぁ…、そう、かな…」

横で麻ちゃんが、「だって」とニヤニヤしながら肘でツンツンしてくる。
それとは対照的に目の前の森田さんはタジタジだ。


「ちょっと麻ちゃん、突っ込みすぎだから!」

「そう?亜衣紗も気になってたでしょ?」

「いや、わたしは別にそこまでは…」


そう言ったところでパスタとピザが運ばれてきて、話がいったん中断する。

お皿を受け取りながら、森田さんに口パクで「ごめんなさい」と言うと、森田さんは笑顔で首を横にふってくれた。

とりあえず、ホッとする。


そんなかんじで始まった食事会だけど、パスタが来てからはその話はなくなり、仕事の話だったり学生時代の話だったり。
三人で楽しく時間を過ごす。

森田さんはあぁ見えて(失礼)どんなジャンルの話でもよく知っていた。
頭の回転も早くて、話題は盛り上がる一方。
しゃべっているのは、麻ちゃんと森田さんばかりで、わたしはほぼ聞き役だったけどね。


「あぁー、よくしゃべったしよく笑った」
「だねー。ほんと楽しかった」


そんな感想とともにこの食事会は終了。
そして、誘ったのは俺だから、と三人分の会計もしてくれたのだった。
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