幼なじみの彼とわたし
つい遥ちゃんのほうを見てしまって。
遥ちゃんもわたしの方を見たから目があった。
視線が鋭い気がするのはわたしだけ?


「うん、会ったよ。いい人そうで楽しかったよー」


うん、楽しかった。
いろいろ話したなぁと思い出していると、顔がにやけていたらしい。


「そんなに楽しかったのか?その森田っていうのとはどうなった?」

「どうなったって、どうもなってないよ」

「えー、麻ちゃんの話では『かわいいと思ったから声かけたらしい』って聞いたんだけど。しかも、『あんまりチャラくなくて好印象』って」


いずみん、もう麻ちゃんに聞いてるんじゃない。


「うん、それはそうだったらしいんだけど。麻ちゃんが聞いてくれようとしたところで料理が来たから、話が中断してそれっきり。しかも、そのあとは麻ちゃんと森田さんで盛り上がってて、わたしはひたすら聞き役だったよ」

「へぇー、そうなんだ」


二人とも信じてくれたかな。
でも、何もないものは何もないし。


「それより麻ちゃんね、森田さんへの第一声が『わたしは吉田麻子と言いますが、あなた森田さんでしたっけ?』だったんだよ?すごくない?」

「吉田らしいな」
「想像できてしまうわー」

「森田さん、わたしには初対面からタメ口だったのに、麻ちゃんにはしばらく敬語」

「麻ちゃんねー、見た目美人だし、最初はちょっととっつきづらいかもねー」

「そういえばこの前もさ…」


麻ちゃんには申し訳ないけど。
麻ちゃんネタで三人で大笑いしながらカレーライスを食べた。
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