幼なじみの彼とわたし
10月
しばらく日にちがたち10月に入った最初の金曜日。


今日は仕事終わりに、中学から大学まで一緒だった千尋と待ち合わせをしていた。

連絡が来たのは一昨日。


『亜衣紗、久しぶり。オトメさんしよ?』


就職先が別々になったわたしたちは、数ヵ月に1度くらいの頻度で語り明かす会を開催している。

最初は“乙女会”だったのに、いつの間にか、“会”が“さん”にかわってしまっていて、今ではすっかり“オトメさん”になっている。
メンバーは、千尋とわたしのふたりだけ。


今日は同期ともよく行く居酒屋『轟』で開催。


「「かんぱーい!!」」


適当に料理も注文して二人してビールで乾杯する。
仕事終わりのアルコールはおいしい!!
あぁー、という声が出てしまうのも納得だ。


徐々に料理も運ばれてきて、ふたりでつつきながらお互いの近況を報告しあう。

楽しいな。

やっぱり数ヵ月に一度のこの日は楽しみすぎて、前の日から寝れないくらい(といいつつ寝てしまうんだけど)ワクワクしている。
同期で集まるのも好きだけど、中学から知っている千尋の存在は特別だ。


「でね、先月、同期が結婚してさ…」


モーリーの結婚式のこと、そのあとの遥ちゃんのこと、いろいろ報告しようとしたら、そこまで言ったところで千尋の様子がおかしくなった。
おかしくなったというか、急に泣き出したのだ。


「…っ!?どうした?ごごごごめん、わたし何か言った?」


千尋が泣きそうなことは言ってないハズだけど、理由がわからないからあたふたしてしまう。
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