幼なじみの彼とわたし
「で、この女の子が亜衣紗ちゃん。守本の職場の同期で、こちらの女の子は…?」

千尋に手を向けてわたしのほうを見る。


「あ、この子は千尋。わたしの中学から大学までの同級生だから、森田さんとも同い年かな。で、千尋?この人は森田さん。わたしの職場の同期の友達」

わたしも紹介をすると、藤木さんと千尋は「はじめまして」と、ペコッと頭を下げた。

千尋のほうをチラッと見ると、すっかり涙は止まったようで少しひきつった笑顔で頷いている。
4人で飲んでもいいようだ。


そのあとは、さすが森田さん。
お友だちと一緒に落ち込んでいたわたしたちを励まそうとしてくれているのか、それとも元々の性格なのか、わたしたちが笑顔でいられるようにその場の空気をガラッと変えてくれた。


「それにしても、ここでまた亜衣紗ちゃんと会えるなんて運命だよな。守本に教えてもらって時々くるんだ、ここ」

「そうなんだ。わたしも同期でよく来るよ。そしたら今まで会ってたかもしれないよね」

「うん、でも今日会えたのはやっぱり運命としか考えらんないよな」


そう言うと森田さんは飲んでいたアルコールのグラスをこちらに向けてくる。
乾杯ってこと?
自分のグラスも持ち上げて、カチンと音をならしてみる。


にこっと笑った森田さんの顔が目に入り、わたしもつられて笑っていると。

千尋が何か言いたそうな顔でこちらを見ている。
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