幼なじみの彼とわたし

「はぁぁぁ？」


千尋のドスのきいた声がふってきた。
森田さんも藤木さんも勢いよく千尋の方を見る。


「亜衣紗。二人の前だけど言うね？」

「う、うん」

何？


「亜衣紗。亜衣紗にはずっと彼氏いないけどなんで？」

「何、突然。なんで？って。わたしがモテないからで…」

「でも、何人にも告白されてるよね？」

「あ、うん、それは…」

「でも、全部断ってるでしょ？なんで？」


わたしが答え終わる前に、千尋が言葉を重ねてくる。
男性陣二人はぽかんとしたままわたしたちのやり取りを聞いているのがわかる。


「なんでって…」

「じゃあ、質問変える。なんで今の会社に就職したの？」

「…え？何？どうしたの？」

「もうひとつ。いつも誰のために料理作ってるの？」

「は？」

「ちょっと待って。千尋ちゃん？ちょっと落ち着こうか」


森田さんが話の腰を折ってくれる。
「千尋ちゃん、酔ってる？烏龍茶頼む？」と森田さん。


「落ち着いてますし、酔ってません」


にこっと笑って森田さんの方を見て言う。
やっぱり目は笑ってないけれど。