幼なじみの彼とわたし
イカの姿焼きをキッチンバサミで切り分けながら妄想してみる。
モデルみたいな麻ちゃんだからなぁ、やっぱり背の高いイケメンなのかなぁ。
あと、お笑い系よりは無口でクールな人かなぁ。
ダメ男とばっかり付き合ってきたって前言ってたけど、麻ちゃんにはイケメンとのツーショットがしっくりくる気がする。


「で、わたし、亜衣紗ちゃんの恋愛も気になるんだけど」

え?

いずみんのほうを向くと、にんまりと笑っている。
わたしの恋愛?

いやいやいや…、え?
この間、遥ちゃんに対する気持ちが好きってことなのかも、と思い始めたところだ。


それをそのまま話せばいいの?
遥ちゃんが好きかも、とか言ってみたらいい?
どんな顔して言えばいいの?


自分でも自覚するくらいに顔があかくなった気がして、慌ててコップに手を伸ばし、ごくごくと飲みこむ。


「あー、亜衣紗ちゃん、顔赤くなったー。まだ酔ってないよね?自分の気持ちに気づいちゃった?」

「え?い、いいいずみん、な、何言ってるの?」


動揺が全面に表れてしまい、いずみんに「分かりやすくてかわいいね」と笑われてしまう。
かわいいって…


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