幼なじみの彼とわたし
「亜衣紗ちゃん、幼なじみっていつも言ってるけど、西本くんのこと好きなんでしょ?」

う、直球すぎない?
もうこれ以上ないっていうくらい、身体中の血液が首から上に集中しているんじゃないかと思うくらい、顔がぽかぽかしてきた。


「…なんで?」

「んー、前からなんとなく好きなんだろうな、と思ってたけど。前、タコパーしたじゃない?亜衣紗ちゃんちで」

「うん」

あの日ね。
麻ちゃんといずみんが泊まった日。


「そのとき、好きな人聞いたの覚えてる?」

もうほぼ寝かけているときに聞かれたのだろう。
覚えていない。
首を左右にふる。


「亜衣紗ちゃん、遥ちゃんはずっと好き、って言ってたの」

え?そんなこと言ってたんだ。
全然覚えてないや。
けっこうぶっちゃけたんだね、わたし。


「もちろんね、わたしも麻ちゃんもその時には“幼なじみとして好き”っていう意味だと思ってたんだけどね」

「うん」


そうだよね。
自覚したの、この間の失恋の会のときだから、タコパーのときには、まだ幼なじみとして遥ちゃんのこと好きだったんだと思う。
だから、ふたりとも大正解だよ。


いずみんが箸を置いて話してくれるから、わたしも同じように箸を置く。


「最近の亜衣紗ちゃん、雰囲気がさ、なんか恋してるのかなぁって。どう?あってるでしょ?わたしの女の勘」


ふふ、と笑って、いずみんはまた箸をもって「このイカ、すんごいおいしい」と食べ始めている。


オ、オンナノカンッテスルドイ……


いずみんの「恋してるのかなぁって」という一言が胸にずしっと響いてくる。
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