お前が好きだなんて俺はバカだな
「本当はお前のこと気になりだしたの、
今年に入ってからじゃないから...。」
「え?
どういうことですか?」
「中学の頃から知ってたんだよ。
一方的にだけど。」
先輩が私のことを、前から知ってた...?
どうして...?
「別に会って話したわけでもなんでもないし、遠くから見てただけだけど。」
「え、いつですか...?」
「当時は通学路が若干被ってて。
お前がわざわざ人通り少ない道を遅くに帰ったりしてたから、毎回心配だったんだよ。
まあ、最初はそれだけだったんだけど。」
「...そ、それで?」
「お前の中学の学園祭を見にいくときがあって、そのときに、お前を見かけたんだ。
学園祭にも関わらず、1人で花壇に水やりしたり、皆が散らかしたところを片付けてたりしてたのを見て、そのときに惚れた。」
「ぇ...。」
惚れた...なんて...。
「俺も自分のことバカだと思ったけど...。」
「ばかじゃ...ないです...。」
「...お前、この話信じる?」
「え?」
「だって、直接会って話したわけでもない奴のこと、好きになるなんて。普通じゃ有り得ないだろ。」
「そんな、こと...。
私は最初、先輩のこと遠くから見てるだけでしたけど、そのときから先輩のこと好きですから...。」
「...そうだったんだ。」
「でも、私のこと、あの...
好きでいてくれたのなら、どうして...?」
「ああ...なんか...。
俺がお前に対してだけ意地悪かったのは、簡単に言うと、俺に関心を持って欲しかったからだ。」
「関心...ですか。」
「そう。
そりゃあ、優しくだけしてれば、もしかしたら好意的な印象を持たれるかもしれないっていうのはあったけど。
お前は、違う気がした。」
「違う...?」
「ハンカチ落として拾ってもらったことあっただろ。」
「あ...はい。
あのときぐらいからちょうど先輩は私を暇つぶし、ストレス解消枠認定してましたよね。」
「そう。
あのときから俺の日頃のストレスや、鬱憤をお前をいじめることで解消してたわけだ。
でも...本当にそんなことのために、お前をいじめてたと思う?」
「え、違うんですか...?」
「今思えばかっこ悪い話だけど、それは違う。
あのとき、ハンカチは当然わざと落としたわけだけど、拾ってもらって、手渡されたときに、俺は改めてお前に対しては態度を変えるって決意した。」
「な、なんでですか...?」
ハンカチ落としたのやっぱりわざとだったんだ...。
なんとなく先輩がやるミスじゃないよなって思ってたけど。
「俺と、目を合わせてくれなかったから。」
「え?」
「やっぱり俺は、そのときのお前にしてみれば、大した存在じゃないって。自分の気持ちとお前の気持ちに差を感じたから。」
「そ、それは違うと思います!
だって...なかなか目を合わせて喋るのって、恥ずかしいし、好きな人だったらなおさら照れちゃうじゃないですか!」
「そう...なんだ...。」
「そうですよ。
先輩はおバカさんです。
意地悪して好きな人に嫌われちゃったらどうするんですか...?
私だったからまだよかったものの...。」
「それはそうだ。
でも、それならそれで、良かったのかもしれない。」
「え...?」
「こんな最低な人とは死んでも付き合いたくありませんって言われたら、逆に清々しいもんだよ。きっぱり諦めがついた気がした。」
分かるような...分からないような...。
でも、やっぱり分からない。
分からないよ、先輩...。
「でも、まったくの嘘偽りってわけでもなくて。
俺の素直な気持ちはこんなもんだから。
それを隠したまま、強引に付き合うことになったとしても、それは後々お互いのためにならない。」
前、ヒガシが言っていたことを思い出した。
先輩は、私にありのままを受け入れて欲しかった。
あのときは、全くその意味が理解できずに、
親しき中にも礼儀ありだの、鷹を括ったようなことを言っていた自分が恥ずかしくなる。
「じゃあ、今までの意地悪は多少本音が含まれているということですね。。。?」
「ははは。
ご明察。」
「何がはははですか。
そこは気を使って全部嘘だって言ってくださいよぉ...。」
「すまん。」
「もう...
先輩のばかぁ...。」
そこまで言って、私は。
彼が切ない顔で私を見ていることに気づく。
え、どうしてそんな顔...。
あ...。
頬に熱いものを感じて、手で触ると、自分がようやく涙をこぼしていることに気がついた。
「え...どうして...。
ごめんなさい、先輩...。」
「結野...お前...。」
「あ、あの...これは、そのっ、
ゴミが目に入って...。」
「...。」
「あれ、おかしいな...。...。」
カタン、
と先輩が向かいの椅子から離れる音がして、
「どうして、とまらな」
目の前で、時が止まった。
今年に入ってからじゃないから...。」
「え?
どういうことですか?」
「中学の頃から知ってたんだよ。
一方的にだけど。」
先輩が私のことを、前から知ってた...?
どうして...?
「別に会って話したわけでもなんでもないし、遠くから見てただけだけど。」
「え、いつですか...?」
「当時は通学路が若干被ってて。
お前がわざわざ人通り少ない道を遅くに帰ったりしてたから、毎回心配だったんだよ。
まあ、最初はそれだけだったんだけど。」
「...そ、それで?」
「お前の中学の学園祭を見にいくときがあって、そのときに、お前を見かけたんだ。
学園祭にも関わらず、1人で花壇に水やりしたり、皆が散らかしたところを片付けてたりしてたのを見て、そのときに惚れた。」
「ぇ...。」
惚れた...なんて...。
「俺も自分のことバカだと思ったけど...。」
「ばかじゃ...ないです...。」
「...お前、この話信じる?」
「え?」
「だって、直接会って話したわけでもない奴のこと、好きになるなんて。普通じゃ有り得ないだろ。」
「そんな、こと...。
私は最初、先輩のこと遠くから見てるだけでしたけど、そのときから先輩のこと好きですから...。」
「...そうだったんだ。」
「でも、私のこと、あの...
好きでいてくれたのなら、どうして...?」
「ああ...なんか...。
俺がお前に対してだけ意地悪かったのは、簡単に言うと、俺に関心を持って欲しかったからだ。」
「関心...ですか。」
「そう。
そりゃあ、優しくだけしてれば、もしかしたら好意的な印象を持たれるかもしれないっていうのはあったけど。
お前は、違う気がした。」
「違う...?」
「ハンカチ落として拾ってもらったことあっただろ。」
「あ...はい。
あのときぐらいからちょうど先輩は私を暇つぶし、ストレス解消枠認定してましたよね。」
「そう。
あのときから俺の日頃のストレスや、鬱憤をお前をいじめることで解消してたわけだ。
でも...本当にそんなことのために、お前をいじめてたと思う?」
「え、違うんですか...?」
「今思えばかっこ悪い話だけど、それは違う。
あのとき、ハンカチは当然わざと落としたわけだけど、拾ってもらって、手渡されたときに、俺は改めてお前に対しては態度を変えるって決意した。」
「な、なんでですか...?」
ハンカチ落としたのやっぱりわざとだったんだ...。
なんとなく先輩がやるミスじゃないよなって思ってたけど。
「俺と、目を合わせてくれなかったから。」
「え?」
「やっぱり俺は、そのときのお前にしてみれば、大した存在じゃないって。自分の気持ちとお前の気持ちに差を感じたから。」
「そ、それは違うと思います!
だって...なかなか目を合わせて喋るのって、恥ずかしいし、好きな人だったらなおさら照れちゃうじゃないですか!」
「そう...なんだ...。」
「そうですよ。
先輩はおバカさんです。
意地悪して好きな人に嫌われちゃったらどうするんですか...?
私だったからまだよかったものの...。」
「それはそうだ。
でも、それならそれで、良かったのかもしれない。」
「え...?」
「こんな最低な人とは死んでも付き合いたくありませんって言われたら、逆に清々しいもんだよ。きっぱり諦めがついた気がした。」
分かるような...分からないような...。
でも、やっぱり分からない。
分からないよ、先輩...。
「でも、まったくの嘘偽りってわけでもなくて。
俺の素直な気持ちはこんなもんだから。
それを隠したまま、強引に付き合うことになったとしても、それは後々お互いのためにならない。」
前、ヒガシが言っていたことを思い出した。
先輩は、私にありのままを受け入れて欲しかった。
あのときは、全くその意味が理解できずに、
親しき中にも礼儀ありだの、鷹を括ったようなことを言っていた自分が恥ずかしくなる。
「じゃあ、今までの意地悪は多少本音が含まれているということですね。。。?」
「ははは。
ご明察。」
「何がはははですか。
そこは気を使って全部嘘だって言ってくださいよぉ...。」
「すまん。」
「もう...
先輩のばかぁ...。」
そこまで言って、私は。
彼が切ない顔で私を見ていることに気づく。
え、どうしてそんな顔...。
あ...。
頬に熱いものを感じて、手で触ると、自分がようやく涙をこぼしていることに気がついた。
「え...どうして...。
ごめんなさい、先輩...。」
「結野...お前...。」
「あ、あの...これは、そのっ、
ゴミが目に入って...。」
「...。」
「あれ、おかしいな...。...。」
カタン、
と先輩が向かいの椅子から離れる音がして、
「どうして、とまらな」
目の前で、時が止まった。