お前が好きだなんて俺はバカだな
「遅れてすみません。」

「遅い。
もう少しで頭蓋骨から食べちゃうところだったよ?」

「おい...変なブラックジョークやめてくれないか。俺がお前に食われるわけないだろ。」

「ちぇ...。
美礼くんだって、さっきまで便乗してたくせに。」

...何のために呼ばれたんだろう私。

「いやぁ、一昨日はごめんね。
まさか君があんなに真に受けるとは思わなかったからさ。」

「...なんのことですか?」

「僕が君に言ったこと。
まあ、覚えてないならいいけど。」

「...結野に一体何を...?」

先輩もよく分かっていないようで、心配している。

「あれれ。
それが原因で今仲悪くなってるんじゃないの?」

「別に仲悪くないけど。」

「そうですよ。」

そういえば...私、なんで先輩にあんなことしちゃったんだっけ。

「なんだー。
僕の早とちりだったみたい。
ごめんごめん。」

「早とちりって...とりあえずお前、結野に何したんだよ?」

「何もしてないよ?
ただ、自分に自信を持つようにアドバイスしただけ。」

彼が悪びれもせずにそう言うと、先輩の顔色が変わった。

「...。」

「美礼くんどうしたの?」

「...なんでも。」

「もしかしてやっぱりなんかあった?」

「いや。特になにも。」

「へぇ...ならいいんだけどさ。

まあ、言うことは言ったし、僕はそろそろ帰るよ。黒潮に餌あげなきゃいけないから。」

「ああ...。」

「じゃあね、美礼くん。
また遊ぼうね。」

「...。」

見送る先輩が、どことなく思いつめているような顔をしていた。

やっぱり私...。

「とりあえず、これからどうする?
まだ昼前だけど、どっかで飯でも食う?」

「はい。」

先輩は方針を決めると、さっと歩き出した。

いつもどおりのことだけど...。
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